月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
秋桜が一面に野を彩る中、村人総出で祝ってくれた婚礼の行われた日が甦る。わざわざ村人の尊崇を集める村長自らが音頭を取り、媒酌を務めてくれた。村人皆がそれぞれ酒やご馳走を持ち寄り、呑めや歌えやで盛り上がった披露の宴。
〝幸せにね〟と、耳許で涙ぐんで囁いてくれた隣家の扑夫人。
何もかもが手作りの、簡素だけれど、心温まる式だった。その皆の善意を、厚意までをも、この人は真っ向から否定するというのか。
―こんな綺麗な花嫁衣装は見たことはない。さぞ高かったんだろうねえ。
村の女たち誰もが羨望の声を上げて眺めた婚礼衣装は、香花が手ずから縫ったものだ。そして、それを仕立てた布は、香花にいつも仕立物の内職を斡旋してくれたグムチョンからの結婚祝として贈られたものだ。
恐らくは両班の令嬢であれば、普段着にしかならないようなそれも、村の娘たちにとっては憧れの晴れ着だ。
〝幸せにね〟と、耳許で涙ぐんで囁いてくれた隣家の扑夫人。
何もかもが手作りの、簡素だけれど、心温まる式だった。その皆の善意を、厚意までをも、この人は真っ向から否定するというのか。
―こんな綺麗な花嫁衣装は見たことはない。さぞ高かったんだろうねえ。
村の女たち誰もが羨望の声を上げて眺めた婚礼衣装は、香花が手ずから縫ったものだ。そして、それを仕立てた布は、香花にいつも仕立物の内職を斡旋してくれたグムチョンからの結婚祝として贈られたものだ。
恐らくは両班の令嬢であれば、普段着にしかならないようなそれも、村の娘たちにとっては憧れの晴れ着だ。