月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
香花は毅然として顔を上げた。
「奥さまはお気の毒な方ですね」
「そなた―、なっ、何を言うのだ」
突如として反撃に出た香花に、妙鈴は気圧されたようである。
香花はうっすら微笑みさえ、その面に浮かべていた。
「確かに、私たちの挙げた婚礼は奥さまからご覧になれば、ままごとのようなもの、取るに足らないものかもしれません。でも、都から遠く離れた鄙の村人たちにとっては、この上なく心のこもった豪勢な式だったのです。奥さま、物の価値など、考え方一つでどうでも変わるものではございませんか? 華美贅沢に価値を見出そうとするなら、貧しい民は罪深く賤しい人種となり、また、裏腹に質素倹約を基準にするなら、ご馳走を食べ身を綺羅で飾るは無意味な、ただの驕りになりましょう。この場合、享楽に耽る両班の方々の方が罪深いということになります」
「奥さまはお気の毒な方ですね」
「そなた―、なっ、何を言うのだ」
突如として反撃に出た香花に、妙鈴は気圧されたようである。
香花はうっすら微笑みさえ、その面に浮かべていた。
「確かに、私たちの挙げた婚礼は奥さまからご覧になれば、ままごとのようなもの、取るに足らないものかもしれません。でも、都から遠く離れた鄙の村人たちにとっては、この上なく心のこもった豪勢な式だったのです。奥さま、物の価値など、考え方一つでどうでも変わるものではございませんか? 華美贅沢に価値を見出そうとするなら、貧しい民は罪深く賤しい人種となり、また、裏腹に質素倹約を基準にするなら、ご馳走を食べ身を綺羅で飾るは無意味な、ただの驕りになりましょう。この場合、享楽に耽る両班の方々の方が罪深いということになります」