月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
妙鈴は口をあんぐりと開けたまま、物も言えないでいる。
香花は淡々と続けた。
「ただ、私は思うのです。たとえ身に纏うものが襤褸切れであろうと、絹であろうと、最も大切なのは、その人の心の持ち様ではなかろうかと。どれほど着飾ってみても、その人の考え方そのものが歪んでいては意味がありません。逆に、いかに貧しくとも、心を常に正しく保ち人を思いやる心があれば、その人は真に優れた人といえるのではないでしょうか」
その時、妙鈴の胸に去来したものは何だったのか―。
「それが、何ゆえ、私が気の毒なということになるのだッ」
ヒステリックな声を上げた妙鈴を、香花は静かな瞳で見据える。
「人らしい心をお持ちにならない方はどれほど美しく装われようと、意味がないと先ほども申し上げました。私が奥さまをお気の毒だと申し上げたのは、それゆえです」
香花は淡々と続けた。
「ただ、私は思うのです。たとえ身に纏うものが襤褸切れであろうと、絹であろうと、最も大切なのは、その人の心の持ち様ではなかろうかと。どれほど着飾ってみても、その人の考え方そのものが歪んでいては意味がありません。逆に、いかに貧しくとも、心を常に正しく保ち人を思いやる心があれば、その人は真に優れた人といえるのではないでしょうか」
その時、妙鈴の胸に去来したものは何だったのか―。
「それが、何ゆえ、私が気の毒なということになるのだッ」
ヒステリックな声を上げた妙鈴を、香花は静かな瞳で見据える。
「人らしい心をお持ちにならない方はどれほど美しく装われようと、意味がないと先ほども申し上げました。私が奥さまをお気の毒だと申し上げたのは、それゆえです」