月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
―ねえ、あなたは何をそんなに苦しんでいるの? 悩んでなんかいないで、ここに来れば良いのに。私と一緒に逝きましょう。苦しみも何もない場所へ私があなたを連れていってあげる。
香花はハッと息を呑んだ。
声が聞こえた次の瞬間、水面に全く見知らぬ娘の顔が浮かび上がったのだ。
面長でほっそりとした顔立ちはどこか淋しげだが、色白でなかなか整っている。かなりの美人だ。見たところ、まだ若い娘のように見える。
―逝くって、一体、どこに逝くというの?
問いかけてみても、娘は応えず、ただ薄く笑んでいるだけである。
と、それまで何もなかった空間に突然、蒼い蝶が出現した。蝶は水面すれすれを掠めるようにしきりに飛び回っている。
まるで香花を水底の世界に差し招くかのように、蝶は飛び続けた。
香花はハッと息を呑んだ。
声が聞こえた次の瞬間、水面に全く見知らぬ娘の顔が浮かび上がったのだ。
面長でほっそりとした顔立ちはどこか淋しげだが、色白でなかなか整っている。かなりの美人だ。見たところ、まだ若い娘のように見える。
―逝くって、一体、どこに逝くというの?
問いかけてみても、娘は応えず、ただ薄く笑んでいるだけである。
と、それまで何もなかった空間に突然、蒼い蝶が出現した。蝶は水面すれすれを掠めるようにしきりに飛び回っている。
まるで香花を水底の世界に差し招くかのように、蝶は飛び続けた。