月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
舅の言い分も満更、判らないわけでもない。妙鈴にとって、和真はたった一人の息子だったのだ。ましてや、良人の真悦は若き日、自分ではない他の女を本気で愛し、いっときは身分も何もかも棄て、自分と別れてまで、その女と生きようとしたのだ。そして、妙鈴は真悦の愛する女をこの上ないほど徹底的に追いつめ、結局、二人を別れるを余儀なくさせた。
真悦ほどの人がそのことを三十年近く経った今でもなお、根に持っている―ましてや、当の妙鈴の前でそんな素振りを見せるとも思わないけれど、女を蹴落とした妙鈴にしてみれば、後味の悪さは残っているのではないか。遠い日、ヨンウォルから良人を奪ったことが、舅夫婦の間に微妙な翳を落としていたとしても、不思議はない。
真悦ほどの人がそのことを三十年近く経った今でもなお、根に持っている―ましてや、当の妙鈴の前でそんな素振りを見せるとも思わないけれど、女を蹴落とした妙鈴にしてみれば、後味の悪さは残っているのではないか。遠い日、ヨンウォルから良人を奪ったことが、舅夫婦の間に微妙な翳を落としていたとしても、不思議はない。