月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
あれは、百舌だろうか。可愛らしい外見に似合わず、百舌は気性の荒い鳥である。蛙やトカゲなどを補食するが、狩った獲物は一旦、樹の枝に串刺し状にしておいてから、食べるという一風変わった習性があるのだ。
愛らしさに似合わない荒々しい気性は、どこか彩景を思い出させる。彩景もあれで黙って座っていれば、どこから見ても楚々とした深窓の令嬢だ。
百舌は一、二度鋭く啼き声を上げ、ゆっくりと上空を旋回したかと思うと、いずこかへと飛び去っていった。キィーという啼き声はあたかも空を切り裂くようで、冬のしじまを突き抜けていった。
寒走った空は、冬特有の薄青さを湛え、所々に筆でひと塗りしたかのようなちぎれ雲が浮かんでいる。
まだ冷たい真冬の風が身の傍を吹き抜け、冬珊瑚の葉を震わせてゆく。身体の芯まで凍えそうな寒さが脚許から這い登ってきた。
紅色の実が、新たに滲んできた涙にかすんだ。
愛らしさに似合わない荒々しい気性は、どこか彩景を思い出させる。彩景もあれで黙って座っていれば、どこから見ても楚々とした深窓の令嬢だ。
百舌は一、二度鋭く啼き声を上げ、ゆっくりと上空を旋回したかと思うと、いずこかへと飛び去っていった。キィーという啼き声はあたかも空を切り裂くようで、冬のしじまを突き抜けていった。
寒走った空は、冬特有の薄青さを湛え、所々に筆でひと塗りしたかのようなちぎれ雲が浮かんでいる。
まだ冷たい真冬の風が身の傍を吹き抜け、冬珊瑚の葉を震わせてゆく。身体の芯まで凍えそうな寒さが脚許から這い登ってきた。
紅色の実が、新たに滲んできた涙にかすんだ。