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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第24章 交錯する想い

 香花は先刻から、再び襲ってきた吐き気と闘っていた。向かいに座った光王が怪訝そうな顔で見ているのは知っていたが、吐き気を堪えるのに精一杯で、笑顔を拵えることなどできそうにもなかった。
 成家では、毎朝、朝食は一家揃って食べるのがならわしになっている。つまり、当主の真悦・妙鈴夫妻を筆頭に跡取り夫婦(もっとも、現在、成家では、香花は光王の正式な妻と認められてはいないが)の光王・香花が一同に会するのである。
 更に、彩景が屋敷内に住むようになってからは、彩景までもが加わり、さながら、朝食の最中は香花にとって生き地獄であった。
 妙鈴の嫌味はもう毎度のことで、箸の上げ下げまでを細かく吟味され、小言が飛んでくる。そして、〝これだから、下賤の者は困る〟と言われ、最後は彩景のしとやかさを褒めて食事は気まずい雰囲気の中に終わる。

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