月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第24章 交錯する想い
昼飯と夕飯はそれぞれ老夫婦、若夫婦別室で取るため、香花にとっては必要以上に気を遣うことはない。
今日の夕飯は殆ど食べられなかった。香花の身を案じた光王が特に厨房に頼んで松の実粥を作らせたのに、それすらも食べられない。
「おい、どこか具合でも悪いのか?」
気遣うように問われ、香花は無理に微笑んだ。
「ううん、大丈夫。たいしたことないわ」
だが、光王は疑うような眼でじいっと見つめてくる。
「粥ひと匙さえ食べられないのに、どこが大丈夫なんだ? 俺には大丈夫なようにも、たいしたことがないようにも見えないぞ?」
「もう、光王ったら、心配性なんだから。食欲がないことくらい、誰にでもあるわよ」
笑い飛ばそうとして、また嘔吐感が襲ってきて、香花は口許を押さえた。
今日の夕飯は殆ど食べられなかった。香花の身を案じた光王が特に厨房に頼んで松の実粥を作らせたのに、それすらも食べられない。
「おい、どこか具合でも悪いのか?」
気遣うように問われ、香花は無理に微笑んだ。
「ううん、大丈夫。たいしたことないわ」
だが、光王は疑うような眼でじいっと見つめてくる。
「粥ひと匙さえ食べられないのに、どこが大丈夫なんだ? 俺には大丈夫なようにも、たいしたことがないようにも見えないぞ?」
「もう、光王ったら、心配性なんだから。食欲がないことくらい、誰にでもあるわよ」
笑い飛ばそうとして、また嘔吐感が襲ってきて、香花は口許を押さえた。