月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第25章 岐路(みち)
あたしが悪ふざけが過ぎたよ。
女将がそう言った時、客席の方が声が飛んできた。
「おーい、女将。いないのか~? 酒をもう一本頼むよ」
「はーい。今、参ります」
女将は愛想の良い営業用の声で返し、香花には奥で休んでいるようにと言い、慌てて駆けていった。
女将の許で厄介になって、数日が過ぎた。
その日も、香花は店に出て働いていた。まだ休んでいろとしつこく言われたが、じっと寝ているのも性に合わない。あの産婆がくれた薬も効いてきて、大分楽になった。殆ど食べられなかったのが、ほぼ以前のように食事を取ることもできるようになった。
通りすがりの女が教えてくれたように、腕も診立ても確かなのだろう。
女将がそう言った時、客席の方が声が飛んできた。
「おーい、女将。いないのか~? 酒をもう一本頼むよ」
「はーい。今、参ります」
女将は愛想の良い営業用の声で返し、香花には奥で休んでいるようにと言い、慌てて駆けていった。
女将の許で厄介になって、数日が過ぎた。
その日も、香花は店に出て働いていた。まだ休んでいろとしつこく言われたが、じっと寝ているのも性に合わない。あの産婆がくれた薬も効いてきて、大分楽になった。殆ど食べられなかったのが、ほぼ以前のように食事を取ることもできるようになった。
通りすがりの女が教えてくれたように、腕も診立ても確かなのだろう。