月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第25章 岐路(みち)
香花の可憐な面がたちまち蒼褪めた。
「おい、黙って突っ立ってないで、何か言えよ。酒場の女のくせに、両班のお嬢さまのように気取るんじゃねえや」
香花は懸命に掴まれた手を振りほどこうとするも、まるで絡みついたかのように離れない。ねっとりと汗ばんだ男の手が気持ち悪い。それよりも、自分に向けられる粘着質な視線の方がもっと怖かった。
香花が何の反応も見せないので、男たちは怒って騒ぎ始めた。
「おい、俺たちの話が聞こえないわけじゃないだろ」
「布団の上で可愛がってやったら、どんな声で啼くのかな? 是非、俺たちに聞かせてくれねえか」
下卑た言葉を次々に浴びせられ、香花は固まったまま動けない。
「おい、黙って突っ立ってないで、何か言えよ。酒場の女のくせに、両班のお嬢さまのように気取るんじゃねえや」
香花は懸命に掴まれた手を振りほどこうとするも、まるで絡みついたかのように離れない。ねっとりと汗ばんだ男の手が気持ち悪い。それよりも、自分に向けられる粘着質な視線の方がもっと怖かった。
香花が何の反応も見せないので、男たちは怒って騒ぎ始めた。
「おい、俺たちの話が聞こえないわけじゃないだろ」
「布団の上で可愛がってやったら、どんな声で啼くのかな? 是非、俺たちに聞かせてくれねえか」
下卑た言葉を次々に浴びせられ、香花は固まったまま動けない。