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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第25章 岐路(みち)

 流石に女将が見かねて間に入ろうとしたその時、いきなり香花の胸を揉んでいた男が吹っ飛んだ。
 あまりにも素早い展開に、その場の誰もがついてゆけないでいた。その間にも、突如として現れた長身の男は香花を抱えた男から香花の手を引いて自分の方に引き寄せ、次いで唖然としている男を殴りつけた。
 降り注ぐ陽光が、男の髪を黄金色にきらめかせ、怒りに燃え上がったその双眸は海よりも深い蒼に染まっている。
「この野郎」
 光王は拳で二度、三度と男たちを殴りつけた。むろん、彼等も負けてはおらず、抵抗を試みるが、彼等と光王とでは力の差がありすぎる。まるで大人と子どもの取っ組み合いのようだ。
「もう良いよ、光王。ここらで止めときな」

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