月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第25章 岐路(みち)
もし女将が止めに入らなければ、最悪、彼は香花を襲おうとした男たちを殴り殺していただろう。
男たちが顔中、痣だらけになって這々の体で帰っていった後、女将は〝本日休業〟の札を表に下げた。
女将の計らいで、香花と光王は座敷で話し合うことになった。女将は一つしかない座敷を香花のために空け、香花はここを居室として使わせて貰っているのだ。
二人だけになった光王は何も言わず、ただ烈しい眼で香花を睨みつけているだけだ。
―怖い。
どんな理由があるにせよ、彼の許から黙っていなくなったのだから、光王が憤っていたとしても仕方ない。でも、こんな風に苛々として凶暴な雰囲気を身体中に纏いつかせた光王は見たことがなくて、一緒にいるだけで身体が震える。
男たちが顔中、痣だらけになって這々の体で帰っていった後、女将は〝本日休業〟の札を表に下げた。
女将の計らいで、香花と光王は座敷で話し合うことになった。女将は一つしかない座敷を香花のために空け、香花はここを居室として使わせて貰っているのだ。
二人だけになった光王は何も言わず、ただ烈しい眼で香花を睨みつけているだけだ。
―怖い。
どんな理由があるにせよ、彼の許から黙っていなくなったのだから、光王が憤っていたとしても仕方ない。でも、こんな風に苛々として凶暴な雰囲気を身体中に纏いつかせた光王は見たことがなくて、一緒にいるだけで身体が震える。