テキストサイズ

月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第3章 陰謀

「あなたなんかに、旦那さまの苦しみの何が判るっていうのよ」
 香花は泣きながら自分に与えられた室に駆け戻り、思いきり泣いた。
 自分は判っている。たとえ言葉は辛辣でも、光王の言うことは何も間違ってはいない。
―自分一人の恨みを晴らすために、感情に溺れて、この国をまたしても闇に陥れ、滅ぼしても良いとでも言うのか!? 
 光王の鋭い口調が今も耳に残る。
 香花の眼にまた新たな涙が湧いた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ