
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第25章 岐路(みち)
「それも女将から聞いた」
光王はどこか機嫌の悪そうな声で続ける。
「あのな、お前、そういうことは普通、亭主に真っ先に言えよ」
「―ごめんなさい」
香花がしゅんとすると、光王が幾分心細そうな顔で言う。
「赤ン坊が生まれても、お前は俺のものだぞ」
まるで妹か弟が生まれると判ったときの兄のようなその科白に、香花は思わず頬が緩んだ。
「もちろんよ。赤ちゃんが生まれても、光王がいちばんで、赤ちゃんはその次だわ」
「うん、それで良い」
満足げに頷く光王に、香花は内心、やれやれと嘆息する。光王がこんなに甘えたがりの面があるとは、これまで考えてみたこともなかった。
光王はどこか機嫌の悪そうな声で続ける。
「あのな、お前、そういうことは普通、亭主に真っ先に言えよ」
「―ごめんなさい」
香花がしゅんとすると、光王が幾分心細そうな顔で言う。
「赤ン坊が生まれても、お前は俺のものだぞ」
まるで妹か弟が生まれると判ったときの兄のようなその科白に、香花は思わず頬が緩んだ。
「もちろんよ。赤ちゃんが生まれても、光王がいちばんで、赤ちゃんはその次だわ」
「うん、それで良い」
満足げに頷く光王に、香花は内心、やれやれと嘆息する。光王がこんなに甘えたがりの面があるとは、これまで考えてみたこともなかった。
