
月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第26章 都の春
そのお陰で未然に謀を暴き、謀反を防げたにも拘わらず、国王の彼への処罰は相当に厳しいものだった。誰もがその生命まで取られることはなく、罪一等を減じられ、穏便な処置で済むと信じて疑っていなかったのだ。
明善は平素から忠勤に励み、国王の信頼も厚かった。それだけに、余計に罪も軽いものだろうと安易に考えていたのである。
しかし、若き国王完宗の怒りは深く、明善は市中を引き廻された上、首を斬られた。信頼していただけに、国王は明善に裏切られたという意識が大きかったのだ。完宗にとっては、謀反に連座していたという事実だけで、はや、許しがたかったのだろう。
今では崔明善の名にせよ、二年余り前の謀反にせよ、人の口の端に上ることもなくなったけれど、明善の名はまだ人々の記憶の底に残っている。
明善は平素から忠勤に励み、国王の信頼も厚かった。それだけに、余計に罪も軽いものだろうと安易に考えていたのである。
しかし、若き国王完宗の怒りは深く、明善は市中を引き廻された上、首を斬られた。信頼していただけに、国王は明善に裏切られたという意識が大きかったのだ。完宗にとっては、謀反に連座していたという事実だけで、はや、許しがたかったのだろう。
今では崔明善の名にせよ、二年余り前の謀反にせよ、人の口の端に上ることもなくなったけれど、明善の名はまだ人々の記憶の底に残っている。
