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月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】

第26章 都の春

 いつになく機嫌の良い義母の姿に接し、つい素のままの自分で対応してしまったのがまずかった。これは非常にまずい。
 だが、意に反して、妙鈴は明るい声音で言った。いつもは言葉の端々にちりばめられている皮肉がない。
「良いではないか。騒がしい馬もまた、馴れれば、それなりに可愛いものよ。そうそう、大切なものを渡すのを忘れておった」

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