月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第26章 都の春
よく肥えた月は、薄紅く染まっている。
月に照らされる桜と月を見上げる桜。
まさに、一幅の絵のような世界だ。
夢中になって眺めていた香花は、光王がいつしか背後に立っているのにも気付かなかった。
「お前は、からかい甲斐のある女だからな。な、騒馬姫」
囁かれた彼らしい揶揄する科白に、反射的に後ろを向きかけ、ふと首の後ろに落とされた唇に身を固くする。
その時、扉の向こうで真悦の声が聞こえた。
「光王、まだ起きておるのか?」
「はい、父上」
光王が急いで扉を開くと、真悦が庭に佇んでいた。両手を後ろ手に組み、彼もまた月を眺めていたようだ。
「今日は月が殊の外見事だ。もしそなたさえ良ければ、これから月を愛でながら酒でも酌み交わさぬか?」
月に照らされる桜と月を見上げる桜。
まさに、一幅の絵のような世界だ。
夢中になって眺めていた香花は、光王がいつしか背後に立っているのにも気付かなかった。
「お前は、からかい甲斐のある女だからな。な、騒馬姫」
囁かれた彼らしい揶揄する科白に、反射的に後ろを向きかけ、ふと首の後ろに落とされた唇に身を固くする。
その時、扉の向こうで真悦の声が聞こえた。
「光王、まだ起きておるのか?」
「はい、父上」
光王が急いで扉を開くと、真悦が庭に佇んでいた。両手を後ろ手に組み、彼もまた月を眺めていたようだ。
「今日は月が殊の外見事だ。もしそなたさえ良ければ、これから月を愛でながら酒でも酌み交わさぬか?」
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