月下にひらく華~切なさの向こう側~第6話【漢陽の春】
第26章 都の春
〝行っても良いか?〟 振り向きざま、眼顔で問いかけた良人に、香花は頷いた。
「判りました。すぐに父上のお部屋に参ります」
勘の良い真悦は部屋に香花がいるのに気付いたようだ。
「香花もいるのなら、一緒に来なさい。丁度、妙鈴も同席しておるゆえ、四人で月を愛でるとしよう」
再び香花のほっそりとした首筋に、唇が触れた。香花の身体がピクリと反応し、思わず上げそうになった声を光王が大きな手のひらで塞いだ。
そんな香花に笑って肩をすくめた光王を、香花が紅い顔で睨みつけたのは―ひとえに、圧倒的な不利な状況ゆえだった。
義父のいる前で、光王に触れられて声を上げるなんて、みっともない。
「では、二人で来なさい。妙鈴と共に待っているよ」
「判りました。すぐに父上のお部屋に参ります」
勘の良い真悦は部屋に香花がいるのに気付いたようだ。
「香花もいるのなら、一緒に来なさい。丁度、妙鈴も同席しておるゆえ、四人で月を愛でるとしよう」
再び香花のほっそりとした首筋に、唇が触れた。香花の身体がピクリと反応し、思わず上げそうになった声を光王が大きな手のひらで塞いだ。
そんな香花に笑って肩をすくめた光王を、香花が紅い顔で睨みつけたのは―ひとえに、圧倒的な不利な状況ゆえだった。
義父のいる前で、光王に触れられて声を上げるなんて、みっともない。
「では、二人で来なさい。妙鈴と共に待っているよ」