テキストサイズ

花鬼(はなおに)~風の墓標~

第7章 第二部・風花(かざばな)・紅葉

 熊はこの二年間肌身離すことのなかった懐剣をじいっと眺めた。すっと鞘から刀身を抜くと、秋の陽光に照らされた刃が光った。
―お母様。どうかご安心なされて下さいませ。熊はいつでもお母様のお言葉をこの胸に刻んで生きておりまする。
 熊は固い決意を込めたまなざしで懐剣に見入った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ