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短編集

第12章 『境界線の爺さん』

心だけがここにある。

爺さんを見ている。

国境など、もともと見えなかった線で区切られていた地面に線を引いている爺さんを見ている。

爺さんが泣いている。

わかっているんだ。

そんなこと、意味がないって。

ここには何もない。

荒野に爺さんが一人。

私は見ている。

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