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短編集

第12章 『境界線の爺さん』

爺さんが言うことも、もっともかもしれない。

そこは爺さんが先祖代々守ってきた思い出のある場所なのかもしれない。

でも、今はそこには何もない。

自分の書斎が欲しい、とか。

隣の家の屋根が家の敷地にはみ出てる、とか。

町村合併、都道府県合併、郡州制、とか。

小さな島の奪い合い、とか。

クーデター、戦争、侵略、占領、とか。

とか、で賛否して争っていた頃が懐かしい。

今は世界中に何もないから。

私には体もないから。

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