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短編集

第5章 イブと自販機と男

男が硬貨を入れて、商品のボタンを選んで押す。

ガチャン!

商品が下の取出し口に落ちてくる。
と、同時に、液晶に映し出された三列のドラムが回転を始める。

ピピピピピ…。

男は液晶を見つめる。

ピピピ…。

左端、真ん中が止まる。

数字の7、そして7。

ピピピピ…。

右端はまだ回っている。

―まさか…。でも…。…こい…揃えっ!

「…こい、こいっ!当たれーっ!」

男はいつのまにか気持ちを口に出して叫んでいた。

「1回くらい、俺にも当たりをくれよっ!これから頑張るから!きっと頑張るから!諦めずに頑張るから!捨てずに頑張るから!迷っても歩き続けるからっ!」

男は叫び続けた。

―頼むよ…。

…ピーッ!


右端が止まった。

数字の、7。


当たり!

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