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短編集

第6章 Mファンと女

「Mファンと女」
ぴーっぴーっぴーっ…

「あ~っ!もう!ぴーっぴーっぴーって…情けない声出しちゃって」


ガタッ、ぷすん…。


「やだっもう、だから言ったじゃない…?」

女のワンルーム。
灯油切れか、連続運転を防止するための自動消火。
銀色、四角の灯油ファンヒーターは止まった。

「ねぇ、どぉしてほしぃのょ?言ってごらんなさいょ?」

―…むり!

ファンヒーターは思った。
「触って欲しぃんでしょ…ぴーっぴーっいっちゃてさぁ」

女が近づいてくる。
黒レースのキャミ。
下着は…ひもだけっ?

―とりあえず上着きてよ~。

ファンヒーターは願う。

「だ、め、よ。ほら、もう乗っちゃった」

女はファンヒーターに腰掛けて、さわさわと掌でなで回す。

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