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短編集

第6章 Mファンと女

―うひーっ!こしょば気持ちいいっ!やめてー!

ふふんっ、女は鼻を鳴らす。

「さあ、ここ?それとも…ここかしら?やだぁ、もう感じてるの?ボタンがコリコリしてるわょ?」

―いや、そこは!ってただの運転ボタンです!いつもと同じ固さですがっ!?

「押しちゃおうかしら?さあ、どうしようかしら?」
女は指先を回すようにして、運転ボタンを撫でている。

―もう押すなら、早く押して―!

「だぁめよぅ?ちゃんとお願いしない子は…まだあげなぃ!」

―ああっ!早く!…って焦らしてどうするんだっ?風邪引くのあんただよっ!!
「もう、しょうがないわねぇ…ぴっと!」

運転ボタンが押されたファンヒーターは、ぴーっぴーっぴーっと再び警告音を発した。

「あらぁ?そんなに感じてるの?ぴーっぴーっぴーって、鳴いてるの?ぴっと押されただけで、感じるなんて…やらしいわね。」

―ちがーうっ!よく見ろ!給油ランプ点けてるだろっ!灯油切れだーっ!

「なぁに?欲しいの?欲張りな子…。でも今日はぁ、いい気分だから、あげちゃおっかなぁ?」

―…早くしろっ!

「やっぱあげな~い」

―…っく!

「うっそ」

―…っこのやろう!

「あはは☆ほっとしたでしょ?じゃあ脱ぎなさいよ」
―ぬっ、脱ぐ?俺はファンヒーターだが…?




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