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短編集

第7章 『飛行願望』

『飛行願望』

海岸沿いに設置された巨大な風車のてっぺんに腰かけて、少年は水平線の夕陽を眺めていた。

冬の夕焼けは、なんだか哀しい。

「会いたいなぁ…」

少年は呟いて、マーブルチョコの筒型ケースを、ポケットから取り出す。

色とりどりのチョコレートの粒が描かれており、「マーブルチョコレート」と書いてある。

でも、中身はチョコじゃない。

ポコンッと音をさせて、蓋を開ける。

一粒のカプセルを手のひらに取り出す。

白と青のツートンカラー。
少年はカプセルを見つめる。

「ふぅ…」

少年らしくない、大人びたため息。

「こんなもんで…」

声は冬の風にかき消される。

風車は風を受けて回っている。

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