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短編集

第7章 『飛行願望』

コンクリートの高い壁で囲まれた2畳程の運動場。

景色なんて見えない。

施設に入れられた俺が唯一空を眺めることができる場所。

幅1メートル程の隙間から見える細長い空。

…大人になる?

わからない。


俺はただ、空を飛んでいたかっただけなんだ。


誰もが子どもの頃に夢にみたように。


ただ、空を飛びたかったんだ…。


立ち上がって、両腕を肩まで上げて、伸ばす。


ぶーん。

体を回転させて、空を見上げる。


細長い空に、太陽の光が射し込んでいた。







おしまい。

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