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短編集

第10章 『祖母の夏』

ひとしきり泣いて、心が乾いてザラザラして、何か心の中の大切なものを殺してしまいそうになったとき、

(年を取ればいずれ誰でもそれを殺すときがくるかもしれないが、それは彼女には、まだ年に似合わないこと)


座っていた彼女の肩に、そっと手が差し伸べられた。

優しく置かれた手に気付いて彼女は、顔を上げて振り返った。

そこには彼女と同じ年頃の男の子が立っていた。

男の子は彼女の顔を心配そうに見つめていた。

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