ホストクラブの罠(不良総受け)
第14章 もう一度
―――――※瑠希視点※―――――
翌朝
俺は公園のベンチで目を覚ました。
小鳥のさえずりで目を覚ますなんてどこのお嬢様だよ、なんてツッコミを入れたくなった。
盛大に腫れているだろう目元を水道水で冷やしながら、朝の日差しを全身で浴びてみた。
「はぁ・・・・・まぶし・・・」
ため息をつきながらもう一度ベンチへ腰掛ける。
「仕事行きたくね・・・」
誰にも聞かれない程度につぶやいてみる。
空はこんなに青くて
空気もこんなに気持ちイイのに
俺だけリストラされたサラリーマンのような気分だった。
「瑠希??」
ふと聞こえてきた低い声。
その声の主など振り向かなくてもわかっていた。
名前を呼ばれるだけで
まるで心臓が暴れだしそうな
そんな感覚に襲われた。
この声は
恭平だ・・・
振り向くのをためらった。
今の俺
目は腫れてるし、きっと顔だってぐしゃぐしゃで・・・
「おいっ」
ビクリと身体が震えた。
その声は俺のすぐ後ろまで来ていたからだ。