ホストクラブの罠(不良総受け)
第3章 危険な香り
―――――※大和視点※―――――
瑠希さんに会ったのは久しぶりだった。
まさかこんな所で会うなんて思ってもみなかった。
ずっと憧れていた人。
いつも先頭に立って、仲間の為に身体をはっていた。
総長だからと、自分の事をおごることなく、いつも俺たち下の奴の気持ちになって動いてくれていた。
だからこそ、沢山の奴が瑠希さんの元に集まったんだろう。
俺もそんな中の一人だった。
最初は顔を覚えてもらうのに必死で・・・
顔を覚えてもらったら、今度は名前で呼ばれたくて、それが叶ったら、次はもっと自分の事を知って欲しくて・・・・
俺は・・・
いつの間にか瑠希さんの事を好きになっていた。
一度だけ・・・
うちに泊まった瑠希さんが寝ている隙にキスをしたことがある。
もちろん瑠希さんにはバレていない。
柔らかくて、少しだけ湿っていた唇の感触は今でも覚えている。
でも、
臆病な俺は
瑠希さんに告白さえできなかった。
そうこうしているうちに
瑠希さんはチームを引退した。
今こうして再び巡り会えたのは、運命なんだろうか・・・
そんな乙女じみた考えをしてしまう俺は、そうとうイカれてるんだろうな。
俺の目の前で笑ってくれる瑠希さん。
もっと
もっともっと話がしたい。
そんな事を思っていたのに、邪魔者は必ずいるわけで・・・
透吾さんに引っ張られながら連れて行かれた瑠希さんを、俺は名残惜しそうに目で追った。