ホストクラブの罠(不良総受け)
第3章 危険な香り
一時の沈黙。
「覗きかい?いい趣味だ。」
「ち、ちげーよ!!透吾って奴を探してただけで・・」
男は胸ポケットからタバコを取り出し火をつけるとフーと煙を吹き出した。黒い髪をかきあげ、眼鏡を正す。
そして俺の方へ一歩、また一歩と近づいてくる。
背筋がぞっとして俺は思わず逃げ腰になると、後ろ手にドアノブを掴む。
いつでも逃げれるようにと思っての行動だった。
喧嘩慣れはしているものの、こいつの目はヤバイと瞬時に感じてしまったからだ。
「俺が透吾だ。
なんの用だ?いいとこだったのに。というか、お前は誰だ?」
「俺はココでバイトすることになった『瑠希』だ。
店長から・・お前に色々聞けって言われて。」
透吾の眉が一瞬ピクリとつり上がった。
「お前?お前とは俺の事か?」
「あっ??そうだよ。お前が透吾なんだろ?」
ドンッ―――――
一瞬にして俺の目の前に透吾の顔がやってくる。
そして口からタバコの煙を吐き出し、わざと俺に吹きかける。
肩を掴まれ俺は一瞬固まった。
「俺は、先輩だ。
教育が必要だな。
瑠希。」
鋭い目で睨まれる。
思わず俺は視線を反らす。