359°
第9章 funky&crazy
(そうだよな…あんなに男前なんだから、いないわけないよな…)
てっきり高藤さんは、特定の彼女は作らないんじゃないかと思っていた。
卓也は恵から目をそらす。
(そうだ…これが普通なんだ。男を好きになるオレがおかしいんだ…)
卓也は拳をグッと握りしめる。
「…あたし、認めないから」
「…は?」
「あんたがアールグレイのボーカルだなんて、絶っ対認めないからね!」
そう言うと恵はフンッと鼻を鳴らし、その場から去って行った。
「…なんだよ、それ…」
呆然としながら卓也は呟く。