359°
第9章 funky&crazy
「戸惑ってる、ね…」
フウッと、龍は口から白い煙を吐く。
「もしかしたら…」
「ん?」
「いや、なんでもねぇ…つか、これからはうっかりてのはやめろよ?卓也に辞められたら困るからな」
そう言って龍は煙草を灰皿に押し付けた。
「…わかってるよ、気をつける。
さ、時間がもったいない、練習しようか」
「あ、あいつ今週は練習できねーぜ?」
「ん?」
龍は卓也が、他バンドでボーカルの助っ人を頼まれてることを説明した。
「はは、卓也くんの才能を認める輩が現れてきたね」
「うかうかしてると持ってかれちまうかもしんねぇな」
「大丈夫、今はアイドリングさせるにはちょうどいい。でもフル加速するなら、俺たちのエンジンが必ず必要だ」
「まあな」
2人はククッと笑って、再びスタジオの中へと入っていった。