359°
第9章 funky&crazy
そんな姿を奇怪な物でも見るかのように、二度見する蒼士。
(やっぱり馬鹿の考えることはわからん…)
蒼士はアンプをONにして、ギターをかき鳴らし始めた。
一方スタジオのロビーでは、龍がハイスピードで煙草をふかしていた。
「…マジやったのかよ?」
龍の問いに、プッと吹き出す拓哉。
「下品だな、俺はそんなに飢えてないよ」
「じゃあ、あの卓也の態度はなんだ?」
「ああ…」
拓哉は煙草の煙から逃げるように、ソファーに腰を下ろす。
「…彼が偶然ユキの遺書を見つけてしまって…」
「!」
「泣かせてしまった…」
「なんで、あいつが泣くんだよ」
「わからないよ…でも俺はつい彼を抱きしめてしまった」
「…」
「だから、戸惑ってるのかもしれないな」
クスッと拓哉は苦笑する。