359°
第9章 funky&crazy
「君が描いたの?」
「…失敗作ですからっ…///」
女子生徒は頬を赤く染めながら、拾い集めたファイルやスケッチブックを持って慌てて走り去って行った。
卓也は名残惜しそうに、去っていく女子生徒の後ろ姿を見つめる。
(あの絵…すげぇ、良かったんだけどなぁ…)
暗雲の隙間から光がさしている、幻想的な風景画だった。
(もっとジックリ見たかったな…)
きびすを返し歩き出そうとすると、
「どうしたの?坂本くん」
突然背後で聞き慣れた声がした。
「あ、木下…」
振り返ると、一緒に文化祭実行委員をやっていた同じクラスの木下ひろみがいた。
「今の、誰?」
ニッコリ笑いながら、木下ひろみは質問する。