359°
第9章 funky&crazy
遠藤は周りを見渡した。
自分をジッと見据える女子たちの視線……
『そうよ、蒼士様の言うとおりだわ。まともに演奏できないんじゃあね~』
『いっそのこと、蒼士様がギターやればいいのに』
『ベースの人は来ないのかなぁ~~』
口々に勝手なことを言うギャラリー。
誰も自分たちの演奏なんて興味ない…
勘違いしてた。
彼女らはアールグレイのファンなのだ。
恥をかく前に………
「さ、坂本くん……僕やっぱり……」
「あのさぁ、オレ思うんだけど」
「…えっ…」
「そんなに肩肘張らなくても、学祭みたいなノリで楽しめばいんじゃね?」
顔を上げると、卓也の満面の笑みがそこにあった。