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……どうしてこうなった?

第11章 芹沢の入部試験

優花は興奮して喜んでしまってる自分に気付き、慌てて口をつぐんだ。

恐る恐る幼馴染みの橘彰人を見る。

橘はぎゅっと歯を食い縛りながらピッチを見つめていた。

自分が喜んでるのを見て嫌味を言われるかと思っていた優花は、ハッとその横顔に息を止めた。


尊敬する槍倉誠一が二軍以下に二点も許し、同点にされたことに悔しがっている様子だった。


「監督、俺行けます」


騒然とする中、突如その声は聞こえた。


「いや、上遠野、お前はまだ怪我が……」

「もう大丈夫っすよ」

「しかし……」

「お願いします」

ベンチのメンバーは息を飲んだ。


監督に自ら直訴したのはレギュラーチームの司令塔といえる存在、上遠野武瑠(かどのたける)だったからだ。


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