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ぬかるんだグラウンドに足を取られ、橘彰人はまた豪快に転んだ。

しかしすぐに立ち上がりボールを持った芹沢に駆け寄っていく。

雨上がりのグラウンド。

コンディションが悪いという理由で練習は屋内で筋トレをするものとグラウンドで練習するものに分かれていた。

橘は迷いなくグラウンドでの練習を選んでいた。


普段はピッチで本格的な練習が出来るのは上級生やレギュラー、準レギュラー陣がメインだったが、こういう日は下級生たちもグラウンドをのびのびと使うことが出来たということが理由の一つである。

それに橘がグラウンドを選んだ理由はもう一つ。

鎗倉キャプテンと芹沢もグラウンドで練習していたからである。


芹沢はサッカー部に入部してから、一日も欠かさず真面目に練習に来ていた。

はじめは彼女の優花がいるから冷やかしで入っただけと思っていた橘だったが、その練習態度からひやかしだけではないのだと認識を改めた。