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……どうしてこうなった?

第12章 橘彰人の変化

泥を蹴り上げながら必死に橘は芹沢に食らいつく。

しかし芹沢はぬかるんだグラウンドでも器用にボールをさばき、やすやすと橘を振り切った。


勢い余った橘はまた勢いよく泥の中に顔を埋める。

「ちょっとっ! 大丈夫なの、彰人!」

あまりの豪快なこけっぷりに優花は心配になり駆け寄る。


「来るんじゃねーっ! 大丈夫だから!」

すぐさま立ち上がった橘は膝からにじむ血も気にする様子もなくまた駆け出した。

その気迫を見て芹沢はにやりと笑った。



冷やかしじゃないと理解はしたが、だからといって橘は芹沢のことを認めたわけではなかった。

三年からの入部というのはやはりおかしいし、練習後は笑いながら優花と話をし、時には一緒に帰ることもあった。

そんな姿を見て、やはり不純な動機なんだと橘は無理にも思おうとしていた。

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