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……どうしてこうなった?

第12章 橘彰人の変化

紅茶を飲み、しばらく他愛のない会話を楽しんでいた橘であったが、次第に身体がやけに熱くなってくるのに気付いた。

「どうかしたの、彰人君?」

陸奥は首をかしげながら橘に顔を近づける。

甘い香りが陸奥から漂い、目の前にはプルンとした艶やかで赤い唇がある。

「な、なんでもありませんよっ!」

唇が接近しそうになり慌てて橘は顔を離した。


脳裏にくっきりと優花の顔が浮かび上がり、それが橘の自制心を呼び起こした。

「もうっ! せっかく治ってたのにまた敬語使ってるっ!」

ちょっとむくれた顔をして橘の手を握る。

その表情が男心をくすぐると考え抜かれたような甘い表情。

「ごめん。ちょっとボーッとしちゃってて。もうこんな時間だし帰るね」

橘はカバンを持って立ち上がろうとする。

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