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「私は生徒会長の陸奥佳奈美（むつかなみ）です。はじめまして」

佳奈美は漆黒の黒髪を優雅に揺らしながら首をかしげる。

生徒会長の眼鏡の奥の長いまつげと大きな瞳でじっと見つめられると吸い込まれそうな錯覚に陥り、優花は思わず目をそらした。

「陸奥先輩はどういったご用件で私を呼び出されたのですか？」

そらした目を再び生徒会長の佳奈美に戻し、優花は尋ねた。

「優花さんは新入生の代表挨拶もされたくらい才女だと聞いてます。しかしそのあなたが入学初日から男性とお付き合いを始めたとお聞きしましてね……
別にうちの学校は恋愛禁止とかではないのですよ。ただ入学初日からこれでは少し心配だなと思いまして……」

「そうですか。それならば簡単です。その噂は嘘です。それでは失礼します」

優花は淡々とそう答え、ペコッと頭を下げてさっさと振り返り帰ろうと歩き出した。

「あ、待ってっ優花さん」

佳奈美は穏やかな口調で優花を呼び止めた。