テキストサイズ

……どうしてこうなった?

第18章 『偽装彼女』解約

「まぁ、とにかく。これで晴れて最低な芹沢先輩の『彼女』ではなくなったんだし、ここで失礼します」

「え? 駅まで一緒に行こうぜ?」

「嫌です! ただの先輩と後輩ですから。これからは馴れ馴れしく『優花』なんて呼ばず、『葉月』って苗字で読んでくださいね? てか声かけないでくださいね?」

「えー無理。俺彼女だろうがそうでなかろうが女の子は名前でしか呼ばないし」

「それじゃ、失礼します」

芹沢の返事などまるで無視して、後ろ姿だけでも怒ってるのがわかるくらい肩を上下させながら優花は立ち去っていった。


芹沢はその後ろ姿を見ながらフッと悲しげに笑った。


偶然に見掛けた、橘に告白していた時の必死な表情の優花の顔を思い出しながら。


じっとその背中が角を曲がって見えなくなるまで見送っていた。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ