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……どうしてこうなった?

第18章 『偽装彼女』解約

帰りの電車の車窓をボーッと見詰めて、無意識に最寄り駅で降り、自動的に足が動くように優花は家に帰り着く。


明らかに自分の心の中に消失感があることを優花は渋々認めた。

しかしそれは決して恋人を失った消失感とは違うと感じていた。


そういったストレートで、強烈で、苦しいくらいに悲しい消失感ではなく。


もっと鈍痛のような、倦怠感を帯びたような消失感であった。


友達と喧嘩したような辛さにも似た、嫌な気持ちの残る感覚に似ていて、それでいてどこか失恋したような苦さも少しだけ漂っていた。


好きでもないのに偽装で付き合って、好きな女が出来たから別れる。


こんなにバカにした話は聞いたことがない。

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