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……どうしてこうなった?

第30章 自殺2

リョウの手首には無数のためらい傷の筋が生々しく残っていた。

あれは作り物だとは思えない。


百歩譲って作り物だったとして、そんなことをする理由がわからない。

自殺を望んでいる女の子だというアピールは出来るかもしれない。

しかしだからといって自分が心を許すきっかけになるとは限らない。


そんなことのためにわざわざあんなリアルなためらい傷を作る必要があるのだろうか?

お風呂に入ったり、触ったりして剥がれてしまったら偽物だとバレてしまう。

偽物だとバレてしまえば不信感を買うこととなってしまう。

そんな危険を冒してまでためらい傷を作る必要性が全く感じられない。


だから、あのためらい傷はきっと本物だ。


橘はそうほとんど断定的にそう考えていた。

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