無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「芹沢先輩はゆうちゃんのために陸奥先輩と付き合ってるんですよね？」

単刀直入に友美は彼氏である槍倉誠一に尋ねた。


「んー……どうかな？」

誠一はうやむやに答える。

「教えてください、誠一さん」

のらりくらりとかわそうとする誠一に友美が追求する。

以前は槍倉さんとか槍倉先輩と呼んでいた友美だったが、最近は誠一さんと呼ぶのにも慣れてきた。

しかしまだ、どことなくぎこちない。


「なんだか大切なとこが不器用じゃん、芹沢も、葉月もさ」

山の中腹にある公園のベンチから見える街を見下ろしながら誠一が答える。

街は夜の始まりで、薄暗い空の下で光の粒がぼんやりと光っていた。