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……どうしてこうなった?

第32章 陸奥家を継ぐ者

陸奥は友達ぶった低脳な連中に寂しいよね」とか「可哀想」などと見当違いの同情を寄越してくるのがたまらなく嫌だった。

可哀想などではない。
陸奥家のものとして、それは当たり前のことであった。

仕事が忙しいとか言ってるそいつらの父親が、嘘みたいな安い賃金のために朝から晩まで必死に働いていることのほうが、陸奥にしてみればよっぽど可哀想であり、惨めな人生に思えた。

被支配者の屈辱にまみれた『幸せな家庭』など、同情するよりほかない、虚しい生き様だとさえ考えていた。


陸奥家は支配者側の人間だ。


家族集まって下らない幸せごっこをして、年に一回貧乏旅行をすることを楽しみに生きている人間とは正に人種が違うと考えていた。

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