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……どうしてこうなった?

第34章 狂気の刃

そっと唇を重ねたのは数秒のことで、二人はさっと体を離した。


「ど、どどどうして先輩は私のあんな電話で場所がわかったんですか?」

キスはなかったものとするように無関係の話を優花が振る。

「優花の叫び声の後ろで男の叫び声も聞こえたんだよ。はじめは誰だかわからなかったけどさ。副島があんな怒鳴り声上げるの聞いたことないから」

「そうですよね。いつも静かにしゃべる感じですもんね、あの人」

「でさ、優花が練習中ずっと生徒会室の方を見てたのを思い出したんだよ。それで、ピンと来た。優花は生徒会室に行ったんだなって」

「なるほど……そういうわけだったんですね」

優花は納得した。

納得したと同時に『ずっと生徒会室の方を見ていた』という言葉をさらっと受け流した。

芹沢はずっと自分を心配して見ていてくれたという事実を、さらっと聞き流した振りをした。

なんだかそれは、とても照れくさかったから。

 

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