テキストサイズ

……どうしてこうなった?

第8章 初デート

「ほら」


後ろからやって来た芹沢はホットのミルクティーを優花に渡す。

「あ、ありがとうございます」

暖かい日ではあったが、バイクで風に煽られた優花の体は冷えており、暖かいミルクティーが本当にありがたかった。

「気に入った? ここの景色」

「はい」

眼下に広がるパノラマは自分の住んでる見慣れた景色なのにどこか非現実的な美しさをたたえていた。

陳腐な言い方をすれば模型の街を見ている気分になる。

「俺もここの展望台からの景色が好きでさ、たまに来るんだよ」

「へぇ……」

女の人とですか?と憎まれ口を叩こうとしてその言葉を飲み込んだ。

肯定されても否定されてもあんまりいい気分にならないだろうなと考えたからだ。

「この先もう少し登ったところに牧場があるんだよ。知ってる?」

「あ、はい。小さい頃親に連れられて来たことがあります」

「そこ行ってみっか?」

「わー懐かしいっ! はいっ行きます!」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ