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……どうしてこうなった?

第37章 放たれた狂獣

駿二に気持ちを打ち明けた優花だったが、やはり芹沢には自分の気持ちを打ち明けられなかった。

「あーはいはい……芹沢先輩が馬鹿だって言うことはよく伝わりました……」

「いや、そんときはそう思ったんだって!!」

どうでもいい話で盛り上がってしまう。

でもそれが心地よかった。

芹沢とのそんな下らない話をしている時間が幸せだった。

「よし、それじゃあな、優花」

「あ、うん……今日も送ってくださってありがとうございました……」

言わなきゃ……

先輩が好きだって……

私の気持ち、伝えなきゃ……

焦っている間に芹沢は夜道の中に消えていってしまう。

伝えたい気持ちだけが空回りしてしまう。

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