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……どうしてこうなった?

第40章 陸奥佳奈美の決意

「ありがとうございました……問題ございませんでした……」

花井は何度も頭を下げて詫びる。

頭を下げられるたびに佳奈美の心は痛んだ。

「それじゃね、花井さん……」

佳奈美は鞄を転がして部屋を出ようとする。

「お嬢様っ……」

「なぁに、花井さん」

「旦那様と奥様を恨まないで下さいませ……お二人も陸奥家の宿命のため、仕方なくされているのです……」

「そうね……可哀想な人たちね……私はそんな人生を歩まなくてよくなって、本当によかったと思うわ……さようなら」

佳奈美は怒りも涙も圧し殺して、少し震える声でそれだけ告げて、部屋を出ていった。

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