キレーな顔した狼さん。
第15章 12匹目
ヤバイな…
瑠樹、もー着いてっかな…
お弁当を持ってるのも忘れて、俺はひたすら急いで階段をかけ上がる。
何だか最近、瑠樹と居られる時間が
凄く大事に思える。
それこそ…
一分一秒も無駄にしたくない。
ってぐらい…
……俺…かなり重症?
─タンッ
最後の1段を登り、深呼吸をして
息を整える。
「ふぅ~…うしっ」
ガチャ─
「──~~っ」
…ん?
ゆっくりと、屋上の扉を開けた時、
誰かの話し声が俺の耳を掠めた。
反射的に、体が固まり、扉は10センチぐらいのところで止まる。
誰…だ?
聞こえるのは瑠樹の声…
そして、瑠樹より少し高い女の声。
…この声を、俺は知っている。
「う…そだろ?」
ソーッと屋上を覗き込む。
太陽の眩しさに、目を細めながらも、
俺は2つの影を捕らえた。
「瑠……花…」
ボツリとこぼれる様に漏らした声。
その小さな声は、2人に届く前に
空気に溶けて無くなった。
「瑠花っ…お前…付いてくんなっつったろ?
汐里が来るんだよ!早くどっか行けよ…」